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前回、女性は男性と比べて尿道が短く、解剖学的に膀胱炎になりやすい構造をしているとお伝えしました。

「じゃあ、女性の体には膀胱炎を防ぐ仕組みは何もないの?」

と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。実は、ちゃんと強力な防波堤が存在します。
それが、「膣(ちつ)」です。

1.膣が果たす「2つの防御機構」

“膣が膀胱炎の予防に関係あるの?”と意外に思うかもしれませんが、実は非常に重要な役割を担っています。

・物理的な「防波堤」としての役割

膀胱炎の原因菌の代表格は大腸菌ですが、その主な供給源は「肛門」です。膣が肛門と尿道の間にしっかりと介在してくれることで、細菌が直接尿道に侵入するのを防ぐ防波堤の役割を果たしています。

・常在菌による「バリア」としての役割

健康な膣内には常在菌(デーデルライン桿菌など)がいて腟内を酸性に保つことで大腸菌などの繁殖を防いでくれています。「ニオイやおりものが気になるから」と、膣の中までゴシゴシ洗浄してしまうのがNGなのはこのためです。必要なバリアまで洗い流してしまうんですね。

2.中高年以降に訪れる「変化」と対策

このように大事な膣ですが、中高年以降(閉経期)になると少し厄介な変化が起こります。女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下することで膣自体が萎縮し、この防御機能(バリア)が低下してしまうのです。

その結果、「最近、膀胱炎になりやすくなった」「何度も繰り返してしまう」という状態に陥りやすくなります。

3.私たちにできる膀胱炎予防策

膣のバリア機能が低下してくる中高年以降は、これまで以上に「水分をしっかり摂ること」「尿意を我慢せず定期的に排尿すること」が、最も重要で効果的な膀胱炎の予防策になります。
尿の力で、侵入してきた菌を物理的に洗い流してあげるためです。

また、若年層であってもストレスや疲れが溜まっているとき、睡眠不足などで生活リズムが崩れているときはバリア機能が低下していることがありますので、水分摂取と排尿を意識的に行うと良いでしょう。

なお、海外では「エストロゲンが含まれた陰部用クリーム」という選択肢もありますが、現在の日本では保険適応外(自費診療)となっています。

年齢とともに、体は少しずつ変化していきます。

今の自分の体の状態に合わせて、適切なセルフケアを優しく取り入れていきましょう。

院長 西村陽子

にしむら泌尿器科・内科クリニック 札幌大通

院長

西村 陽子

日本医科大学卒、北海道大学大学院卒、医学博士。東京、道内各地(札幌、旭川、苫小牧)の病院で泌尿器科診療に従事。令和8年6月 にしむら泌尿器科・内科クリニック札幌大通を開院。

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