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以前、女性は男性と比べて尿道が短く、解剖学的に膀胱炎になりやすい構造をしているとお伝えしました。その時、「女性の尿道の長さは約3cm、男性の尿道は約20cm」と書きました。

ただ、私たち人間から見ると「3cmと20cmって、そんなに劇的に違うものなの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

そこで今回は、少し“大腸菌の立場”に立って、この距離を考えてみたいと思います。

大腸菌⇒人間にスケールを変えて比較

大腸菌の大きさは約3μm(マイクロメートル)です。1μmは1mmの1000分の1。このミクロの大腸菌にとって、3cmと20cmはどれほどの長さなのでしょうか。

わかりやすくするために、大腸菌(3μm)を人間の大きさ(身長150cm:50万倍)に擬人化させてみます。すると、尿道の長さはこれくらいに跳ね上がります。

実際の大きさ50万倍
大腸菌3μm150cm
女性の尿道長3cm15km
男性の尿道長20cm100km

札幌駅を出発地点として、直線距離で15kmと100kmの場所をグーグルマップで探してみましょう。(※大雑把な規模感のため、数kmの誤差はご容赦ください)

15km圏内(女性):滝野すずらん丘陵公園(約16km)

100km圏内(男性):旭川市など(約100km)

いかがでしょうか、ここまで違うのです。

女性の尿道口から膀胱までの距離は男性のそれと比べると「とても近い」

札幌駅から滝野すずらん公園なら、同じ札幌市内ですし、マラソンランナーなら普通に走れる距離です。一般の方でも「歩けと言われれば、なんとか歩けなくはない」距離ですよね。

しかし、札幌駅から旭川市まで歩けと言われたらどうでしょう? 余程の猛者でなければ、途中で力尽きてしまいますよね。男性が膀胱炎になりにくいのは、菌にとってこれほどの「絶望的な距離」があるからなのです。

実際の大腸菌は、15分〜20分毎に分裂する倍々ゲームで増えるため、話は単純ではありませんが、規模感はイメージできたかと思います。

大腸菌が膀胱に侵入するのを防ぐには

さて、札幌駅から滝野すずらん公園(膀胱)へ決死の進軍を試みる大腸菌を、私たちはどう撃退すべきか?

それが、以前お話しした「定期的な排尿」です。

人間サイズの大腸菌めがけて、上流から山津波のような鉄砲水を浴びせ、札幌駅まで一気に押し戻すのです。それも、大量のお水で、頻回に。

今回は少しマニアックな視点でしたが、大腸菌の必死な気持ち(?)と、それを押し流す水分の重要性を分かっていただけたら幸いです。

院長 西村陽子

にしむら泌尿器科・内科クリニック 札幌大通

院長

西村 陽子

日本医科大学卒、北海道大学大学院卒、医学博士。東京、道内各地(札幌、旭川、苫小牧)の病院で泌尿器科診療に従事。令和8年6月 にしむら泌尿器科・内科クリニック札幌大通を開院。

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